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 > 三陸海岸の漁場

​三陸海岸とは・・・

三陸海岸は青森県南部から岩手県沿岸、宮城県牡鹿半島に至る日本有数のリアス式海岸で総延長は約600kmにも及ぶ。三陸海岸とは名の由来が、それぞれ陸奥(青森)、陸中(岩手)、陸前(宮城)の旧県名に共通する「陸」から、三陸と名づけられている。この三陸海岸の海域は親潮と黒潮が交わる豊かな海で、沖合いは古くから世界の三大漁場と言われてきた。夏は黒潮に乗って南の魚が来遊し、冬は親潮により北洋の魚が運ばれてくる水揚される魚種により季節を感じることができる。また回遊してくる魚ばかりではなく沿岸で繁殖した地付きの魚介類も大変豊富である。三陸海岸では古くから漁業も盛んに行なわれ、定置網漁、まき網漁、底引き網漁、延縄漁、一本つり漁、刺し網漁、籠漁、など目的や季節により変化し、あらゆる漁業が存在する。また三陸海岸のリアス式の内湾では、穏やかな海域を利用して各種の養殖業が盛んである。三陸海岸北部ではコンブ、中部はワカメ、南部ではカキ、を主力にホタテは全域で盛んに養殖されている。また宮城県では銀鮭などの魚類養殖も行なわれている。豊富な海産資源に恵まれているが、エコフィッシュに賛同することによって環境に配慮を示した取組を行っている。

小松漁場

三陸海岸の中にある、岩手県釜石市の尾崎半島の南側にある漁場。尾崎半島先端の海抜114mには尾崎灯台があり北岸から遊歩道を通って行く事ができる。鎌倉時代以前からの古社として知られている尾崎神社奥の院がある。三陸海岸の定置網漁は秋鮭を目的として行なうものが多く、この漁場も主力は10月後半から始まる秋鮭漁が主力である。漁場の特徴は免許区画のすぐ沖を90m水深がせまり、そこから区画内の60m線までの間隔が狭く急深になっている、真東を向いた小さな湾内に位置する。北東から湾内に入り込む潮流に強く影響を受け、岩手県では比較的浅い場所の水深55mに設置している。湾内の浅い海域では以前から定置網が行なわれていたが、現在の場所は昭和50年代から設置が許可された新しい漁場である。昭和60年代には秋鮭の水揚では釜石管内トップクラスの実績をあげた。以前は釜石湾漁協が自営を行なっていたが平成16年より経営を引き継いだ。

江島漁場

宮城県牡鹿群女川町の江島の南側にある漁場。女川港の東方約12kmに浮かぶ江島は周囲4kmで約100名の島民が暮らす小さな島である。陸地から離れているため生活排水等の影響が少なく水質は良好である。島ではウニ、アワビ、ホヤなどの磯物が豊富でホタテ沖合養殖とともに漁民の生活を支えている。定置網の歴史も古く島の文献では明治中期には大規模な定置網が島の南北に4箇所もあった。昭和30年代には大洋漁業(株)経営の定置網や江島漁協自営による定置網が稼動した。定置網漁業の経営は好不漁に大きく影響をうける。この島の定置網の歴史は経営者の変遷の歴史でもある。我々も平成11年4月より前任者から漁場を引継ぎ現在に至っている。特別に潮流が速い訳ではないが離島で障害物がない為360°あらゆる方向から潮流を受け、その方向をめまぐるしく変える。水深は75mで宮城県の定置漁場としては一番深い。4月中旬からトキサケやサクラマスが5月下旬から7月下旬まではマグロやセグロイワシが回遊してくる。7月からは主力であるマサバが黒潮に乗ってやってくる。大型の秋サバ「金華サバ」も早い時期から入網し高値で取引されている。また今では幻となったマイワシも少ないながらこの漁場では獲れる。江島漁場は潮流等の諸条件が整えば様々な魚が大量に入網する好漁場である。

金華山漁場

宮城県石巻市鮎川港の東約1km、周囲約26km、面積約10平方kmの島である。ここも三陸海岸の中に含まれるところ。標高445mの山頂は牡鹿半島先端部では最高峰で原生林が現存する自然豊かな島である。奥州三大霊場の一つである黄金山神社が島の西側にある。島には神社関係者が在住し他に住民はいない。漁場はその南岸と北岸にありそれぞれ特徴を備えている。北側の漁場は島の断崖絶壁から想像できるように急深で西北西から東南東に急潮が通る。11月頃からは北よりの風とともに波が打ち寄せ波高は極めて高い。平成17年1月の低気圧通過では波高が12mに達し定置網は壊滅的な被害を受けた。非常に過酷な条件での漁場である。しかしながらこの漁場の秋サバは極めて大型であり「金華サバ」のブランドで高値で取引される。1kgを超える大型のものはキロ当たり6000円以上の浜値が付き、首都圏や関西方面に送られている。南側の漁場は水深も50mと浅く南東に開いた湾内にある。冬場も波は穏やかで北側と比較しても女性的な漁場である。鮭鱒類の水揚が多く4月からのサクラマス、カラフトマス、トキサケなどは三漁場ではナンバーワンである。また10月頃からは秋鮭が回遊し、真冬にはマタラの漁獲が期待できる漁場である。

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